男が働き、女が家を守るという暮らしを展開し始めてもうすぐ1ヶ月。知ったのはお互いに愛がなくては成り立たないということ。愛おしいから彼のお金を出来る限り大切に使いたい、体がよろこぶご飯を作りたい、帰って来た時に彼が何も気に留めないでいいように、きれいに掃除しておきたい。献身、なんて大それたことではなく、ただ私は私がしたいことをしている、それだけであって、自然に溢れてくる感覚に身を委ねていればすべては当たり前のことに過ぎない。俺が働いてくる、と言ってくれた彼にも彼なりに、何か湧き出るものがあるのだ(と思う)。愛ゆえなのは触れる指先と視線の優しさで充分に伝わる。
家の中に女がいる、と書いて、安らぎという字が成り立っている。私はそういう女でありたいし、あの人はそうさせてくれるから、歯車がうまく噛み合っているんだろう、なあ。ふたり分の洗濯物を干しているとしあわせすぎて涙が出そうになる。毎日彼が気持ちよく1杯のビールが飲めるように、私は生きていればいいのだ。