桜桃が小さく実っていたので太宰を開きました。

一日一日を、たっぷりと生きて行くより他は無い。明日のことを思い煩うな。明日は明日みずから思い煩わん。きょう一日を、よろこび、努め、人には優しくして暮したい。青空もこのごろは、ばかに綺麗だ。舟を浮べたいくらい綺麗だ。山茶花の花びらは、桜貝。音たてて散っている。こんなに見事な花びらだったかと、ことしはじめて驚いている。何もかも、なつかしいのだ。煙草一本吸うのにも、泣いてみたいくらいの感謝の念で吸っている。

ごまかしては、いけないのだ。好きな人には、一刻も早くいつわらぬ思いを飾らず打ちあけて置くがよい。きたない打算は、やめるがよい。率直な行動には、悔いが無い。あとは天意におまかせするばかりなのだ。

『新郎』。泣きたくなる。


国語の授業で扱われるのがこの辺りだったら太宰のイメージはかなり違ったんじゃないかな、とか。
明るさが突き抜けて透明なところにまで達しているから、
透けて見えるたくさんの色の中で、黒がいちばん目に付いてしまう。のではないかと思います。


三鷹に住みたい。